私が蘭塾に通っていた、２年と少しの間、豊富な知識を得ることができました。私は日本にいたとき、国語で30点台など珍しくなく、友達に外国人ではないのかと疑われるくらい国語が苦手でした。しかし、蘭塾に通いはじめてから、私の中での国語の概念が変わったのです。

日本の一般的な中学、高校の国語といえば、抜粋文を読み、そこから登場人物や作者の気持ちを感じ取ったりしなければならないような問題が多いですが、蘭塾では抜粋文ではなく、物語の最初から最後まで何度も読み、登場人物の言動だけでなく、風景、小物、時代背景など諸々、普通に物語を読んでいたら気づかないような細部までを分析し、作者の意図を探っていきます。さらに、日本の一般的な中学、高校のように先生が「答え」を持っているわけではなく、蘭塾では先生も含めた、クラスみんなで自分たちの意見を出し合うディスカッション方式をとっています。それによって学んだのが、国語に「答え」なんてないということです。もし、クラスのみんなと意見が食い違っても、自分の意見にちゃんとした根拠があればそれは「間違い」ではないのです。
人生で片手で数えられるくらいしか本を読んだことがなかった私は、最初、このような新しい勉強法に慣れるまで時間がかかり、成績が良かったとは言えないのですが、コツをつかむとぐんぐん成績が上がっていき、さらに授業が楽しくなるようになりました。

私が卒業した高校プログラム、インターナショナル・バカロレア（IB）では自分の選んだ科目で卒業論文を書かされます。
最初は数学で書こうと思っていたのですが、数学の先生が頼りなく、心配だったので、やっぱり日本語でやろうと決めました。中学2年生の国語30点台のレベルでオランダに移住したので、国語でエッセイなど書いたことがないのに、その卒業論文は8000文字も書かねばならなかったので不安でいっぱいでした。
しかし、普段の授業で原稿用紙7枚もの量を当たり前のように毎週毎週書き、卒業するまでの2年間でエッセイを書くスキルも上がり、最終的には8000文字では自分の言いたいことが収まりきらないということもありました。
そして、書きあがった卒業論文はうれしいことに満点で卒業することができました。

今私は、オランダのフローニンゲン大学で数学を勉強しており、周りに日本人が一切いないので日本語に触れる機会がてんでないのですが、今でも時間があるときには読書をするようになり、物語の変な細部まで気になって素直に物語楽しむことができなくなった後遺症にもかかっています。

これもすべて先生のおかげです。先生は国語だけでなく、私たちが日本に帰った時に帰国子女だからと呆れられないように、世間での生き方まで教えてくれました。本当に蘭塾で様々なことを学び、生まれ変わったくらい成長しました。蘭塾に入って本当に良かったです。

先生とは今でも親しくさせていただいていて今でも先生から学ぶことはいっぱいあります。なので今までありがとうございました、とこれからもお世話になります。