こんにちは、オンライン授業が始まってからすでに2ヶ月が過ぎました。オンラインで楽しく濃い少人数授業展開中の算数・数学のアトリエです。数学得意な人も、苦手な人も、家にこもってでもできる数学を楽しみましょう!
新型ウィルスの感染者数とか、感染率とか、免疫を持つ人の割合とか、いろいろな数値を耳にしてきたここ数ヶ月ですが、今日は、感染しているかどうかを調べるPCR検査に関する確率 を使って、条件付き確率*を考えてみました。
(*条件付き確率 P(A|B) =Bの条件のもとでAである確率。
例えば、
P(機嫌が悪い|空腹である)=お腹が空いているときに機嫌が悪い確率、と
P(空腹である|機嫌が悪い)=機嫌が悪い時にお腹が空いている確率、を比べてみよう。
お母さんの場合お腹が空いてたら100%機嫌が悪いんだけど、機嫌が悪い時にお腹が空いてたのは50%くらいだったよ。つまり、
P(機嫌が悪い|空腹である) = 1
P(空腹である|機嫌が悪い) = 0.5
ということだなあ)
検査に関する二つの言葉を知りました。
検査の感度:感染している人が、検査で「陽性である」と正しく判定される確率。新型ウィルスの場合、40%〜70%などとの数値を見かけたので、ここでは70%であると仮定します。
検査の特異度:感染していない人が、検査で「陰性である」と正しく判定される確率、99%以上、という数値を見かけたので、ここでは99.5%と仮定します。
A : 感染している
A': 感染していない
B : PCR検査で陽性である
B': PCR検査で陰性である
で、表すことにすると、
検査の感度が70%ということは、感染者が陽性と正しく判定される確率は
P(B|A)=0.7
検査の特異度が99.5%ということは、非感染者が陰性と正しく判定される確率は
P(B'|A')=0.995
ということ、つまり、非感染者が陽性と間違って判定される確率
P(B|A')=0.005
ということになります。
これらの、数値は定数となりますが、国や地域や行動によって、人々が感染している確率はそれぞれ違います。それがこの計算にどのように影響してくるのでしょうか。二つのケースを用意します。
ケース1)濃厚接触者であるために感染率が30%であると仮定した時、
ケース2)住んでいる場所の感染率が1万人に一人(0.01%)であると仮定した時、
この二つのケースについて、PCR検査で陽性判定が出た場合に、本当に感染している確率を計算してみましょう。
ケース1)濃厚接触者である場合には、感染の確率を30%としたので、
P(A)=0.3 つまり P(A')=0.7
ですね。
P(A|B)
=P(B|A)xP(A)/(P(B|A)xP(A)+P(B|A')xP(A')
=0.7x0.3/(0.7x0.3+0.005x0.7)
=0.984
となります。
陽性判定の確からしさは98.4%と言えるわけです。なるほど、という数値です。
ケース2)濃厚接触者でないために、感染の確率が0.01%であるとすると、
P(A)=0.0001 つまり P(A')=0.9999
なので、
P(A|B)
=P(B|A)xP(A)/(P(B|A)xP(A)+P(B|A')xP(A')
=0.7x0.0001/(0.7x0.0001+0.005x0.9999)
=0.0138
となります。
陽性判定の確からしさは1.4%ということになります。これにはびっくり。この数値をみると、初期に、濃厚接触者のみに検査をしていた理由もわかる気がしました。
さらに
色々な数値で計算してみると、
千人に一人が感染している地域ならば、12.3%の確からしさ、
百人に一人が感染している地域ならば、58.6%の確からしさ
になりました。
変数がたくさんあるので、地域の状況や検査方法に応じて色々と計算してみると興味深いかもしれませんね。